シロアリの特徴

ヤマトシロアリ シロアリ
ヤマトシロアリ

シロアリとは、ほとんどの方が知っている害虫ではないでしょうか。
正式には昆虫網ゴキブリ目シロアリ科として分類されている昆虫に該当します。自然の世界における役割としては、セルロースと呼ばれる植物細胞及び繊維の主成分の分解をするという非常に重要な役割を担っているのです。一概に害虫として認識されがちなシロアリですが、家屋などに被害を及ぼすだけではなく、自然界を構成するうえで必要な役割を担っていることもご認識頂きたいと思います。例えば、森などにおいてこの役割は非常に重要ですが、簡単に申し上げると分解しているのは植物細胞です。植物と言えば、私たちが住んでいる住宅においても木造住宅は多数存在しています。木造住宅に使用されている植物細胞を分解されてしまうと、それは家屋に対して被害をもたらしてしまっているのと同義となってしまいます。
このように、シロアリが分解する対象施設によって必要な行為か必要でない行為かが定義づけされていると言っても過言ではないでしょう。

●シロアリの外的特徴について

シロアリの外見は、触角は数珠状となっており口器は咀嚼型です。頭部・胸部及び腹部は、他の昆虫のようにくびれがない形態となっています。腹部はやや膨らんでおり、質感は柔らかなものとなっています。日本国内に発生しているシロアリは、巣内に留まるため白色の外見をしています。外見が白色であることから、「シロアリ」と呼ばれる所以となっています。足の長さは短足となっており、不活発なものが多数見受けられます。熱帯地方で確認されているキノコシロアリ類やエサを屋外に探しに行くシュウカクシロアリ科の種類では、実に7mの穴を掘り水脈を探しあてる成果を挙げる種類も確認されています。他の種類においては、体色が白色ではなく茶褐色や黒色といった外見のものも確認されており、それらでは手足も長く活発な種が多いとされています。
なお、シロアリとは「不完全変態」に該当されるため、幼虫は成虫の外見はほとんど同じとなっています。ある程度成長すると「ニンフ」と称される段階を経て、羽アリの外見が特徴的となる生殖虫となって巣の外にて活動を開始するようになります。生殖虫と段階になると、翅は細長くて質感は柔らかなものとなっています。翅の枚数は4枚となっており、大きさについてはほとんどお同じサイズとなっています。この翅は、折り重なるように畳んで背中において平らに収納することができます。日本国内において確認できるシロアリの外的特徴は、こういったものとなるでしょう。

●シロアリの生態

シロアリの種類は、現在で確認されているだけでも世界中に2,000種類以上いるといわれています。そのうち日本には約13種類のシロアリが確認されています。ここでは、シロアリの生態について詳しくご説明させていただきたいと思います。

・シロアリの生態について

シロアリは、全ての種類において巣穴を作ります。巣の中には、シロアリの王と女王が存在します。王と女王を生かすために、その他の働きアリが巣の中にエサを運ぶのです。巣穴とは、エサとなる材料を使用して作るものであり、一般的には地中に作るものがほとんどとされています。熱帯や乾燥した草原で活動しているものでは、地表に盛り上がったアリ塚を作るものが多くなっています。アリ塚は土やアリ自身の排泄物など構成されており、対象となる1つのアリ塚には実に数百万匹ものアリが生息しています。アリ塚を構成している壁は厚さ15㎝に達するものもあり、高温や乾燥などの外的要因よりシロアリを守る役割を担っています。

・シロアリのエサについて

自然界においては、枯れた幹などであり働きアリがそれをくわえて巣穴へと運び込みます。熱帯では、地表の枯れ木や枯葉を主として持ち込む習性があり、エサとなるものは巣穴から働きアリが地表を歩いて取りに行きます。なお、シロアリは単独でエサを取りに行くわけではなく隊列を構成して移動します。エサ運びをする働きアリの列の外側を兵アリが守りながら隊列を組んでいるとされています。
前述したように、シロアリは枯れた植物や柔らかい木材をエサとして好みます。しかし、森の中などでは多数存在するエサであっても、都市部などにおいてはどこにでもあるとは言えません。そこで、シロアリの標的となるのが木造家屋などとなるのです。シロアリは、木造家屋などに棲みつき、主部材である木材になどを食べてしまいます。また、エサとなるのは木材だけに限らずコンクリートや動物の死骸などもエサとしていることか確認されています。また、ダンボールのほか発泡スチロールやプラスチック、皮膜の掛かった電気ケーブルなどの人工物すらもエサとして食べていることが確認されています。固形金属やガラスなどは固すぎてシロアリのエサとなりえないようですが、屋根瓦やゴムや衣類、皮革類などもエサとして食べられてしまいますので、庭などに屋外放置されている物があれば、それについてもシロアリのエサの対象とされてしまうことをご認識頂ければと思います。
また、一般的にはマツ葉に該当するクロマツ・アカマツ・エゾマツや柳などの柔らかな木の方を好んで食べます。なお、ヒバやヒノキなど強烈な匂いを発している防虫効果のある木については食べないと言われることもありますが、シロアリはそれらの気についてもエサとして食べてしまいますので、ご注意いただければと思います。
このように、シロアリのエサとなりうるものを放置しておくと、それが仮に廃棄予定のものであってもシロアリの活動を活発化させてしまうのです。結果的に、活発化したシロアリは家屋内へと侵入するだけでなく、隣近所などへの被害拡大の要因になります。特に木の切り株などは、シロアリにとって絶好のエサです。シロアリは、昆虫の中でも子孫を残すための執念が一段と強い生き物と認識されています。あらゆる環境下においてエサを探索し、エサを発見すると仲間のシロアリに周知し、そこにシロアリが集ることにより被害が発生する悪循環に陥るのです。
シロアリは木の外側の柔らかいところにあるセルロースを好んで食べる習性があります。しかし、先述したようにセルロースやヘミセルロースだけを食べているわけではありません。特筆すべきは、あらゆるエサを探し当てる能力に優れていること、そして見つけ次第仲間のシロアリに知らせることにより、一気に被害に遭ってしまうということです。木を辿って上に上がるだけではなく、地面から何かを積み上げて上に昇る空中蟻道というシロアリが通るトンネルを作ることさえできるほどエサを捕獲して生きようとする生存本能が強い害虫であるとご認識頂ければと思います。

●家屋に被害を与えるシロアリについて

前述したように、シロアリは木材に対して多大な被害をもたらしてしまいます。そのため、木造住宅に暮らす私たちにとって害虫として認識されるようになるのです。厄介なのは、シロアリは人目のつかないところに生息している生物であるため、どこで発生しているかを特定するのが困難であるといった点でしょう。
また、一度家屋にシロアリが棲みついてしまうと、完全に駆除するまでその被害は拡大し続けてしまいます。被害は1点だけに留まらず全体的に広がりを見せることから、最終的には家屋そのものの耐久性に問題が生じたり、家を建て直さなければならならい事態に陥ってしまうことも十分想定されます。
シロアリには様々な種類が存在しますが、主に家屋に対して被害をもたらすとされている種類は次の4種類とされています。

  • 1. 土壌性シロアリ(地下シロアリ)

種類は、ヤマトシロアリとイエシロアリがあります。ヤマトシロアリは、北海道北部を除くほぼ全国に生息していることが確認されています。イエシロアリは、千葉県以西の温暖な沿岸地域を中心に生息していることが確認されています。特徴としては、土壌から働きアリが侵入します。土壌性シロアリは、土中からシロアリが通るトンネルを徐々に伸ばして水を運搬し、木材を主として被害をもたらせます。
また、具体的に次の項目が挙げられます。
・もっとも一般的なシロアリとして認識
・土壌に依存しており、水分や湿気を上方へと押し上げる
・床下なとにシロアリが通るトンネルを作って侵入
・単体ではなく、数万〜数百万単位で生息

  • 2. 乾材シロアリ

種類は、アメリカカンザイシロアリとダイコクシロアリがあります。アメリカカンザイシロアリは、全国に点在し生息していることが確認されています。ダイコクシロアリは、奄美大島以南の南西諸島と小笠原諸島に生息していることが確認されています。特徴としては、木部・換気口・窓なとから羽アリが侵入します。
乾材シロアリは、乾燥した木材に含有されている少量の水分で活動することが可能なシロアリです。主として海外から飛来したと言われており、輸入木材及び家具から直接飛び渡って被害を拡大させます。家屋においては屋根裏などに発生することもあり、一般的なイメージとしてシロアリは床下に生息していると思いこんでしまった結果、発見が遅れてしまい被害が拡大するケースも見受けられます。
また、具体的に次の項目が挙げられます。
・乾燥材の含水たけても活動可能
・土壌にまったく依存しないため、活動範囲が広い
・シロアリが通るトンネルを作らないので、発見か困難
・糞粒か茶色い粒状であることから特徴的
・巣を1つだけでなく複数作る
・小屋裏の被害か多い

●特に要注意となるシロアリについて

先述したように、家屋に大きな被害をもたらすシロアリは4種類であると記載させていただきました。ここでは、その中でも私たちにとってより身近に被害を及ぼす可能性が高いヤマトシロアリとイエシロアリについて、ご紹介したいと思います。特にイエシロアリによる家屋への被害は著しく、食欲が非常に強いことでも有名で、1年間に建物の主要部材である柱3本分もの被害が出るとも言われています。また、木造ばかりでなくコンクリート造の建築物や立木についても被害を及ぼすことが確認されています。

  • 1.ヤマトシロアリ

毎年4月〜5月にかけて、特に雨上がりの蒸し暑い昼間において巣から羽アリが飛び出します。羽アリ体長は4.5cm〜7.5cm程度であり、好きな土質は粘土分の多い植質土です。巣内に生息する数は1万匹〜5万匹とされています。家屋内における主な被害個所は、水回りが中心となっています。

  • 2. イエシロアリ

毎年6月〜7月にかけて、蒸し暑い日の夕方から夜間に巣から羽アリが飛び出します。羽アリ体長は6.5cm〜8.5cm程度であり、好きな土質は砂質土壌です。巣内に生息する数は10万匹〜50万匹と非常に大量であるとされています。家屋内における主な被害個所は、地上から屋根裏までと広範囲に及んでいます。

●巣の構造の違いについて

ヤマトシロアリとイエシロアリの違いは、巣の構造においても確認できます。ヤマトシロアリは、数千匹から数万匹と比較的小さな巣を作ることから、家屋内の被害個所がそのまま巣となっていることが非常に多く確認されています。
イエシロアリの巣はさらにヤマトシロアリと比べるとさらに規模が大きくなっており、土の中に塊となった本巣と称される巣を作ります。本巣からシロアリが通るトンネルを構築し、そのルートの途中でも枝分かれのようになった分巣を作ります。本巣は大小さまざまですが、大きいものでは1m以上の巨大なものも確認されています。分巣を作るために辿るシロアリが通るトンネルが、家屋の被害個所となるのです。
イエシロアリの巣は、分巣を含めて最大半径100mと巨大なものも確認されています。なお、分巣だけを駆除しても抜本的な解決にはなりません。大元となっている本巣を駆除しなければ完璧な駆除とは言えないのです。それは、残った本巣から再び小さな分巣を作り、またその規模を広げていくだけに留まるからに他なりません。
このように、ヤマトシロアリに比べてイエシロアリの被害の方が、著しいのは巣の構造形態からも伺えます。これらの事実から分かるように、シロアリ駆除はシロアリを駆除するだけでは終わらず、巣そのものの駆除が大前提となるのです。

●シロアリの生息地について

シロアリが生息地を選ぶポイントは2つ存在します。それは、棲みやすい環境であることと好きなエサが豊富にあることです。まず、シロアリが棲みやすい環境とは、湿気が多く比較的暖かいな場所であること。また、日当たり及び風通しが悪いことなどの特徴が挙げられます。
次に、シロアリの好きなエサである木材が豊富なことです。木材以外にも、ダンボール・コンクリート・発泡スチロール・プラスチックなどの人工物もエサとするのです。特に、水分を多く含んだ木材やダンボールはシロアリの格好のエサ食となるでしょう。前述したような条件が揃っている場所こそが、シロアリの好む場所となり、その場所を拠点として家屋内へと被害が拡大していきます。
具体的に家屋内においてこれらの条件が揃うところは、風呂場・洗面所・トイレ・台所などの水回りが挙げられます。これらの場所における目に見えない場所である、床下・土台・柱などはシロアリの被害に遭っている可能性が極めて高いため注意が必要です。その中でも、ご家庭においてほとんど毎日使用することが想定される浴室では、タイルの亀裂やサッシとの隙間などから水が染み出してきているケースが多数見受けられます。
水漏れも然りですが、浴室ではお湯を使うことから適度な暖かさも保たれていることから、被害が最も多い場所として認定されています。また、昨今の住宅では室内を構成する材料として、浴室タイルの下に土や石などを使用する構造となっていることから、木材の腐食に気づきにくく被害の発見が遅れがちとなるのです。こういった事象より、浴室や洗面所は水で濡れた状態のままにするのは大変危険であると言えるでしょう。シロアリ発生を抑制する観点より、面倒かもしれませんが使用後の拭き取り掃除及び換気扇をまわして適切に換気するなど、普段から湿気をためないような注意が必要と言えます。

●シロアリとクロアリの違いについて

ここまで、家屋内にて被害を拡大させるシロアリについてご紹介させて頂きましたが、シロアリとよく見間違えられる生物として、クロアリがいます。専門業者などでは、シロアリ駆除として依頼を受託して現近くにんを行うと実際はシロアリではなくクロアリであった事例も多数存在します。クロアリとは、固有名称だけでなく見た目及び群れを成して集団で生活する社会性昆虫として位置付けられているなど、シロアリとの共通点が多数あることから誤認してしまうことが多いのです。しかし、シロアリとクロアリは全く違う生物ですので、ここで触れておきたいと思います。
分類学上では、シロアリは「ゴキブリ目シロアリ科」、クロアリは「ハチ目ススメバチ上科アリ科」に区別されます。シロアリはゴキブリに分類されている傍ら、クロアリは八として分類されているのです。また、シロアリは幼虫と成虫でほとんど変化のない不完全変態ですが、クロアリは幼虫からさなぎを経て成虫になる完全変態の生態となっています。外見上の見た目も酷似していますが、じっくりと観察してみるとその違いを見つけることができます。
例えば、翅の大きさはシロアリが前後同じ大きさの翅が4枚に対して、クロアリは後ろの翅が前の翅より大きいのです。胴体は、シロアリが寸胴に対してクロアリは腹部にくびれが確認できます。触角は、シロアリが真っ直ぐ数珠状であるのに対してクロアリはくの字状となっています。発生時期は、シロアリが4月から7月に対してクロアリは6月から11月と違います。活動場所は、シロアリが床下など湿気が多く、人目につきにくい場所に対してクロアリは庭先などの人目につく場所となっています。このように、シロアリとクロアリには明確な違いがあるのです。シロアリと違い、クロアリを屋外で見かけることについては特段問題があるとは言えません。
どちらかと言うと、自然なことと言って良いでしょう。このように、クロアリが直接的に家屋へと損傷を与えることはないとご認識いただいて結構です。しかし、玄関・風呂・台所・トイレなど家屋内にてクロアリを見かけた場合は安心できないのです。クロアリ自身は家屋に対して悪影響を及ぼすことはないのですが、シロアリがクロアリの栄養となるため、家屋内にてクロアリが発生している場合於いては、その近くの場所でシロアリが生息している可能性があるのです。そういった意味合いでは、家屋内でクロアリを発見した場合は注意が必要と言えるでしょう。

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