山間部ではあまり珍しくなく都市部では見かけることもなかったのですが、近年では都会にも棲み付いて害を及ぼす害獣として知られるようになりました。東京や大阪と言った都心部においても度々目撃情報が寄せられています。
ハクビシンは、沖縄以外の日本全土(特に関東と東北)に生息しています。日本固有の在来種か外来種なのかは確定されておらず、在来種としての保護も外来種としての駆除もしにくいとても中途半端な位置づけをされています。そのため、アライグマのように特定外来生物指定は受けていない現状となっています。
グレーの細長い体に、長い尾をもっていて、鼻筋に白い線があるのが特徴的です。自分で一度住処を決めると、定期的に住処を変えることはなく、ずっと住み続ける習性がありますので棲み付かせない事そのものが重要になってきます。
ハクビシンの身体能力について
ハクビシンは山間部で済むことが多いことから、木登りが得意となっています。そのことから樹上生活者と言われており、大きな体に似合わず細い電線などもバランスを取りながら器用に渡ることができます。ハクビシンは、頭が入る所であればどんな隙間でも入ってしまうので、しばしば民家の屋根裏などに住み着いてしまうことがあります。
身体能力が高く、垂直跳びは1m10cmにもなると言われていますが、リスや猿のように木から木へ飛び移ることはせず、一度地面に降りてから再度登りなおすことが多いようです。一方で穴を掘るのは苦手であるという側面もあります。
ハクビシンの生息地域
ハクビシンの生息地域は、沖縄を除きほぼ日本全域に広がっているのが確認されています。
特に東北地方南部、関東地方、四国全域で多く見られます。狩猟と有害鳥獣捕獲を合わせてハクビシンの捕獲数が最も多いのは四国地方で、特に狩猟での捕獲が多いのが特徴です。一方で、有害鳥獣捕獲で最も多いのは関東地方となっており、過去平均では260頭が有害鳥獣として捕獲されている経過もあります。
ハクビシンの繁殖について
ハクビシンは、非常に繁殖力の高い害獣として知られています。1回の分娩で1~5匹の子どもを産み、その妊娠期間は2カ月程度と短期間となっています。それだけ短い期間に子供を産んでしまうため、地域によっては爆発的に増加することとなり、民家の空き家などに住みつく結果となり、被害が拡大してしまうケースもたくさんあります。
ハクビシンの繁殖時期については、様々な研究が進められていますが厳密な繁殖期というものが判明していません。しかし、現在の学説では通年で繁殖を繰り返していると考えられています。また、ハクビシンは10カ月程度で大人の体になり、出産ができるようになります。この成長スピードと妊娠期間の短さ、通年の繁殖期間という要因が重なることで、ハクビシンの数は爆発的に増加することとなるのです。
ハクビシンの好む場所
ハクビシンは、冬眠をせず一年中活動します。また、寒い時期よりも暖かい時期の方が行動範囲は飛躍的に広がる傾向にあります。そのため、寒い地域では屋外などの温度の低いところよりも、屋内などの温度の高い場所に集まる傾向があります。ハクビシンにそのような習性があることから、好む場所は民家の屋根裏などが挙げられます。
大気中の原理として、暖かい空気は上に上昇することから、寒い地域でも民家の屋根裏は快適な住まいとなってしまうのです。また、屋根裏は人間も頻繁に入ることがない場所であるため、ハクビシン自身の生活を脅かされることがないため、住処として安全を確保できる結果となるのです。
ハクビシンの餌
ハクビシンの食の生態を研究すると、餌には特にこだわりがないことが判明しています。野菜・果物・木の実をはじめ、生ゴミ・残飯・昆虫・小さな哺乳類等まで。このこのとから、非常に雑食であることが伺えます。雑食性の生態ですが、最も大好きな食べ物は果物です。ハクビシンの糞を見ると、果物等の種が含まれていることがよくあります。
ハクビシンの天敵
ハクビシンの天敵は、アライグマ・フクロウ・タカですが、最強の天敵はアライグマです。アライグマは、ハクビシンよりも身体が大きく凶暴です。ハクビシンとアライグマが争うことになれば、ハクビシンにとっては敗色濃厚な戦いとになるでしょう。ハクビシンはアライグマの棲家に侵入して、乗っ取ろうする場合があります。戦いの末、身体が大きく凶暴なアライグマに負けてしまうこともあるようです。ハクビシンの天敵が増えれば、ハクビシンの数は減ることとなりますが、変わりに外来種であるアライグマが増える危険性があるということです。
ハクビシンの性格
ハクビシンの性格は凶暴だと思っている人も多いのではないでしようか。ハクビシンの生態に関する情報の中には、凶暴で気性が荒い記載されている情報もありますが、実は臆病な性格の持ち主です。ハクビシンは、自分よりもはるかに大きい人間を怖がって近づきません。人間を見るとこちらに向かってくるのではなく、逃げるハクビシンも多いことから性格は小心者と言えるでしょう。
人間がハクビシンに何かをしない限り、ハクビシンの方から襲って来たり噛み付いたりすることはほとんどありません。ただし、「窮鼠猫を噛む」という言葉にもあるとおり、ハクビシンも命の危険を察知した時は人間に対して攻撃的になります。このように、攻撃的になったハクビシンを見て、凶暴な性格というイメージが先行しと推測できます。
ハクビシンの行動パターン
ハクビシンは季節によって行動パターンが違います。動物の生態でよくあるのが冬眠ですが、ハクビシンは冬眠をしないため1年中活動しています。冬眠はしませんが、寒いのは苦手です。寒さをしのぐために、屋根裏・天井裏に入ろうとします。夏はエサも豊富なため、ハクビシンは活動的です。高温多湿の日本は、ハクビシンにとっても過酷な環境であると言えます。
冬と異なり夏は、屋根裏・天井裏は非常に暑くなるため劣悪な環境となります。そのため、夏は涼しい場所に巣を作って棲家にしています。春・秋は、ハクビシンにとっても過ごしやすい時期であることから活動的になります。
また、自宅の敷地内・自宅近くに畑があると、収穫を迎える野菜・果物もがハクビシンの餌となってしまい、余計にハクビシンを繁殖させる結果に繋がります。ハクビシンは、動物の中でも知能が高く餌がある場所を自分の行動パターンに組み込んで記憶します。このことから、一度自分が餌を確保できた場所は忘れずに記憶されることから、何度も被害にあってしまいます。
また、ハクビシンは餌の近くに住み着きます。ハクビシンは同じ場所に住み続ける習性があることから、継続的な被害拡大へとつながるのです。
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