ネズミを媒体として持っている雑菌も非常に深刻な事態を招くこともあります。ここでは、ネズミが持つ雑菌についてご紹介ししたいと思います。
1. ハンタウイルス
このウイルスは、ハンタウイルス肺症候群や腎症候性出血熱などを発症させます。腎症候性出血熱はソウルウイルスやドブラバウイルスでも発症すると伊予割れています。これらは発熱や腎不全により、乏尿や多尿、頭痛、臓器の出血などを引き起こします。重症化すると死亡の恐れもありますので注意が必要です。
日本ではほとんど感染例はありませんが、港湾地区に棲むドブネズミはハンタウイルスを保持していて危険だとされています。なお、ハンタウイルスによる病気には現在の医療技術では治療法はありません。処置は対処療法しか行えない状況となっています。
2. サルモネラ菌
サルモネラ菌は食べ物や手などから口に入ることにより感染します。症状は、腹痛や嘔吐、下痢を引き起こし、高齢者や乳幼児は重症化しやすいと言えるでしょう。この症例は、毎年約2,500〜2,700人ほどの患者が発症しており、老若男女問わずかかる可能性がある病気です。食品を加熱すれば菌は死滅しますが、ネズミが容器や食器に菌をばら撒くことで感染につながる可能性があります。
3. レプトスピラ菌
ドブネズミの排泄物に汚染された水や土から感染。黄疸や高熱、筋肉痛を引き起こし、重症化すると全身から出血して死亡するという症例が報告されています。特に重症なものはワイル病と呼ばれています。
最近では死亡例はあまりありませんが、日本国内では沖縄において流行することがあります。犬やハムスターなど、ペットにも感染することから、人間だけ注意していればいいというものではないので、注意が必要です。
4. チフス菌
ネズミの排泄物から感染する菌です。腹痛や頭痛、発熱、血便などの症例となっています。発展途上国での被害が多いのですが、日本国内においても年間約30〜70人の感染例が報告されています。
昨今では、海外に渡航したことで感染していたのですが、最近は海外渡航経験のない人の感染例が増加しています。チフス菌は「健康保菌者」という菌を持っていてもチフスの症状が出ない人がいます。
これらの人は、特に自覚症状がないからこそ意識しないままにチフスの被害を広げてしまう可能性があります。
日本では健康保菌者による大きな被害は報告されていませんが、アメリカでは健康保菌者からチフスが広がったことで、数十人が感染し、少なくとも3人が死亡したという記録が残っています。
5. ツツガムシ
ネズミに寄生するツツガムシが、人の体液を吸うときに感染する病気がツツガムシ病です。ツツガムシはリケッチアという微生物に感染していることがあり、これが原因でツツガムシ病を発症します。数週間の高熱の他、頭痛や発疹などの症例が出ます。
重症になると、血液が血管の中で固まり、多臓器不全を起こして死亡することも想定されます。予防ワクチンが存在しないため、ツツガムシに刺されないように気を付けるしかありません。致死率は7%程度と低いですが、処置せず治療を怠ると約30%程度まで致死率が上昇します。
6. E型肝炎ウイルス
黄疸や肝臓腫大、腹痛などの症例がでます。妊娠されておられる方は特に危険であり、致死率が約20%程度となります。また、肝炎にはワクチンがありますが、E型には対応するものがありませんので注意が必要です。
7. ペスト菌
日本では感染は起こり得ないと想定されますが、ネズミはペストを媒介します。海外に至っては未だ危険な病気として認識されています。
症例としては、リンパ節が腫れ、高熱や頭痛が数日間続き、敗血症を引き起こします。とりわけ肺ペストと呼ばれるものは、すぐに治療をしないと24〜48時間以内に死亡するという極めて危険な病気となっています。
このように、ネズミが持つ病原菌は非常に危険であると言えるでしょう。
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